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光触媒塗料
光触媒塗料とは、セルフクリーニング機能と抗菌作用をもち、一般的な塗料よりも耐用年数が長い塗料のことです。
原料として含まれる酸化チタンが紫外線に反応することで、光触媒作用という化学反応を起こし、塗膜の表面についた有機化合物による汚れを炭酸ガスに分解します。
また、酸化チタンの表面に紫外線が照射されると、塗膜の「親水性」が高まり、水分を弾きにくくなります。
外壁が水分を弾きにくくなると、汚れと外壁塗装の間に雨水などの水分が入り込みやすくなり、油脂のような強力な汚れも洗い流すことができるようになるのです。
なお、光触媒塗料には「紫外線型」と「可視光型」の2種類があります。
【紫外線型と可視光型の違い】
・紫外線型光触媒塗料:紫外線に反応して光触媒の効果を発揮する
・可視光型光触媒塗料:紫外線だけでなく室内の光でも光触媒効果を発揮する
また、光触媒塗料の類似製品として「光触媒コーティング」がありますが、光触媒塗料と光触媒コーティングには以下のような違いがあるので、注意が必要です。
【光触媒塗料と光触媒コーティングの違い】
・光触媒塗料:塗料そのものに光触媒が入っているもの
・光触媒コーティング:塗装をした後に外壁を光触媒が入った特殊な膜材でコーティングすること
光触媒塗料のメリット
セルフクリーニング機能で汚れにくい
原料として含まれる酸化チタンが紫外線に反応することで光触媒作用という化学反応を起こし、塗膜の表面についた汚れを分解し、そこに雨水が付着し汚れの下に入り込むことで、油脂のような強力な汚れも洗い流すことができます。これをセルフクリーニング機能と呼びます。
セルフクリーニング機能により外壁が汚れにくくなり、メンテナンスコストを50〜70%ほど削減する効果が期待できます。
抗菌・浄化作用を持つ
汚れだけでなく、塗膜表面に付着したかびや藻、細菌なども分解し、その発生を抑制することができます。
また、自動車の排気ガスなどの有害物質を分解する空気清浄機能も知られています。
一般的な塗料よりも耐用年数が長い
セルフクリーニング機能による経年劣化の抑制によって、一般には15~20年の耐用年数があると言われています。
ただし、すべてがそうであるわけではありませんが、メーカーの発表している耐久性が本当に発揮されるのかは
わからないという点には注意しましょう。
光触媒塗料のデメリット
費用が高額になる
光触媒塗料の最大のデメリットは費用が高額になることです。
メーカーや製品にもよりますが、光触媒塗料は一般的なシリコン塗料の1.5倍ほどの価格と言われています。
もちろん価格が高くなる分、光触媒塗料はシリコン塗料などと比較して耐用年数も長いとは言われています。
ただし、その耐用年数もあくまでメーカー公表のものであり、実際には耐用年数の前にひび割れが発生してしまったという事例も少なからずあります。
リスクを考慮してひとつ下のグレードのフッ素塗料や一般的なシリコン塗料を選ぶ人が多くなっています。
日当たりによっては効果を発揮できない
紫外線と雨水に晒されることではじめてそのセルフクリーニング機能を発揮します。
つまり日陰になっている部分や雨水に接しない部分には防汚効果がありません。
例えば隣家との距離が近く、外壁に紫外線が当たらない場所などは、光触媒塗料のメリットが十分発揮できないというデメリットがあります。
また、セルフクリーニング機能は、油脂汚れなどには有効ですが、土汚れや火山灰などの無機質の汚れには対応していません。
鳥の糞などの強い汚れは分解しきれないこともあります。
施工が難しく色のバリエーションも少ない
光触媒塗料は普通の塗料の施工とは異なった工程を踏む必要があります。
工程を誤ると光触媒のメリットが失われることもあるので、施工時の職人を慎重に選ぶ必要があります。
また、個別製品にもよりますが、光触媒塗料は他の塗料と比べて色のバリエーションが少ないです。
これは、光触媒塗料の原料である酸化チタンが白色顔料であり、濃色の塗料をつくれないからです。
塗膜の艶についてもシリコン塗料やウレタン塗料ほどの鮮やかな艶を出すことはできません。
結論
少し複雑な特徴を持つ光触媒ですが、いくつかの注意点を踏襲していれば期待する効果を得ることが出来ます。
セルフクリーニング機能が全ての汚れに対して働いてくれるわけではないことを踏まえ、カラーバリエーションやツヤなどを考慮して、納得がいくものの選択さえできれば、現存する塗料で最高と言える効果を実感することが出来ます。